今、日常にあるバリアフリーとはどんなものが思いつきますか?日常生活に感じる不便さを少しでも軽減できるアイデアがポイントとなるバリアフリー。実際に不便を来す何かが自分の身に訪れない限り、なかなか気が付きにくいことが多いですよね。今回ご紹介するのは二世帯で住まうバリアフリーを考えた住宅です。早田雄次郎建築設計事務所/YUJIRO HAYATA ARCHITECT & ASSOCIATESが手掛けたこちらの住まいは、周辺環境に馴染んだ二世帯にとってバリアフリーな住空間です。狭小な敷地ながらも、広がりを持つ工夫や外部との心地よい繋がりを感じられる快適な住まいとなりました。
敷地があるのは、神奈川県藤沢市。片瀬山を傍に自然豊かなロケーションです。そんな二世帯住宅の外観は焼杉の木目が落ち着きある自然に馴染む暖かな雰囲気に。敷地自体は小さいものの、長手方向に十分に確保したデッキによって、その小ささを感じることはありません。周辺の緑とバランスのとれた外観は永く愛されるデザインでしょうか。全部の開口を開け放てば同じ屋根の下家族みんなが繋がりを感じられそうな開放的な構成です。
片瀬山に寄り添うような敷地、本住宅への入り口はスロープ状のブリッジでアプローチ。ちょっぴりペンション風の雰囲気も感じられる外観に周辺の眺めを愉しめるブリッジは車いすでも無理なくアクセスできることも考慮されてのこと。分離型の二世帯ながらも、同じ屋根を共有する程よい距離感です。まるでアパートメントのような住み心地ながら家族が隣にいる近さは安心ですよね。
親世帯の入り口は広めの玄関土間が迎えます。車いすを使用する方のためにと、フラットな入り口に極限まで抑えられた床段差。ホワイトベースに濃淡でメリハリある木目の柔らかさはナチュラルシンプルなインテリア。小窓からみえるのは周辺の緑と、行き交う家族の気配。家族の空間配置は各世帯が上下に住まうメゾネットタイプ。お互いに生活音を減らすストレスの少ない配置ですよね。
個室にはまとまった水廻りが隣接して配置されれば、夜中に間が覚めても安心。バリアフリー住宅は極力段差を抑えた空間に、ほとんどの扉が「引き戸」で車いすでも開閉がスムーズです。個人が自立した日常生活が行えてこそバリアフリーが叶った住まいですよね。