二重サッシを取り入れるメリット

二重サッシは、前述のとおり窓を二重に設置する構造のことですが、これを取り入れているお宅は、日本では北国以外では割と少ないのではないでしょうか。確かに、既存の窓構造にサッシを追加する場合、窓廻りの幅やコストなどいろいろと考慮する点があります。方法もさまざまなので、専門家と相談してみましょう。

窓を二重にすることによる利点は、大まかにいうと結露防止、防音効果、断熱対策の3点が挙げられます。それぞれどのように良いのか、見ていきましょう。

日本の家は、伝統的に暑い夏に対応するように作られてきたといわれます。とはいえ、古い家屋などでは、夏暑く冬寒い家が多いのが実情。この理由のひとつが窓の構造といわれています。窓に断熱や省エネのための仕組みを施すことで、年中過ごしやすい空間にすることができますが、世界的に見て、日本の窓構造はこうした機能面からみるととてもレベルが低いのだそう。

結露に悩むお宅は多いと思いますが、これもシンプルな窓構造ゆえ。二重サッシにすれば結露はある程度防止できますが、そこで使う素材によってもその程度は異なります。内窓を付ける場合には、樹脂製のものにすると熱伝導が低いため、結露が抑えられます。

家でピアノなどの楽器を教えられていたり、長時間弾いたりされる方にとって、音漏れは深刻な問題だと思います。または、線路側や幹線道路側の家では、なるべく外の騒音が入ってこないようにしたいもの。ペアガラスと呼ばれる二重構造のガラスで防音効果を期待される方もいらっしゃると思いますが、実はサッシを通して音漏れが起きるため、万全な対策とは言えないそうです。二重サッシにして内窓を設置することで、窓の間に空気の層を作り、遮音性能を高めることが可能に。

Photo: João Morgado

窓を二重にすることで、気密性が高まります。そうすると、室内の空気は外に出にくくなるため、冬も夏も快適な温度を保ちやすくなります。気密性が高まることで、冷暖房を過剰に使う必要性がなくなり、省エネに貢献してくれるのです。

二重サッシの代わりに、ペアガラスを取り入れるという手もあります。ペアガラスには、普通の空気が入ったもの、アルゴンガスが入ったもの、真空ガラスと呼ばれるものなどいろいろ種類がありますが、挙げた順に断熱効果、結露防止効果が高まります。

結露防止や省エネなど、メリットはたくさんありますが、ではデメリットはどういったものでしょうか。最初に挙げられるのは、コスト。また、内窓を取り付けるために室内側に凹凸ができて圧迫感が高まる場合もあります。窓の開け閉めに倍の手間がかかるということも。しかしながら、設置後の部屋の快適さや省エネなどのメリットに比べると、気にすることでもなさそうです。

こちらはスイスの建築家・Leuppi & Schafrothが手がけた集合住宅。窓に設置された網状の雨戸のような構造は、プライバシーが確保できるだけでなく、屋内に不思議なニュアンスを与えてくれます。

Photo: Roger Frei

結露対策のために二重サッシを検討していながらも、コストの面で踏み切れないという方には、取り急ぎの措置として梱包材として使う気泡緩衝材や断熱シートを窓に貼ってみるのをおすすめします。結露を放置すると、カビが発生して体にもよくないので、ぜひすぐにでも試してみてください。ただ、陽が差し込みづらくなったり、見た目があまりよくなかったりと気になる点もありますので、二重サッシ貯金を始めてみるのもいいかもしれませんね。